
隠し砦の三悪人(1958) - goo 映画
黒澤明をはじめとする橋本忍、小国英雄、菊島隆三の脚本家チームは、この映画のシナリオを作るにあたって、秋月方・山名方に分かれたという。そして山名方が作る難関を、秋月方が一生懸命知恵を絞って解決していくことで、シナリオを練り上げていったということだ。
象徴的なのが、「関所越え」のシーン。
「隠し砦」を出発して、雪姫と黄金を運ぶ真壁六郎太一行。ところが、二人の百姓が裏切ったせいで、関所の警戒が厳しくなってしまう。戻ろうにも、「隠し砦」はすでに山名の手に落ちており、まさに進退窮まった状態。
そこで、彼らはこのピンチをどう切り抜けたか。
詳しくは映画を見てほしいのだが、秋月方チームは相当頭を悩ませたという。
同じように、頭を悩ませた場面は、「火祭り」のシーンにも感じ取れる。
山名方の策略に乗せられ、二人の百姓が黄金の入った薪の山を火祭りのために供出させられそうになる場面。
供出を拒めば、すぐにばれる。かといって、供出すれば、黄金はどうなるかわからない。
そこで、彼らはこのピンチをどう切り抜けたか。
「隠し砦」の面白さは、連続するピンチにどう対処するかにあることに間違いないのだが、それ以上に魅力なのは、随所に現れるアクションシーンである。このことは前回にも触れた。
真壁六郎太とライバル・田所兵衛との槍合戦のシーンが魅せる。
思いっきりワイド画面を意識した構図だけど、気合十分、丁々発止の対決は何度リプレイしても面白い。
そして、ぶろぐる一番のお気に入り、「裏切りご免!」。
この場面で、この映画は名作の座を勝ち取ったと言っていいだろう。
あと一歩で早川領というところで、山名方に捕らえられてしまった、六郎太と雪姫。そして雪姫に助けられた女。
彼らは国境近くの関所に一時拘束され、明日にも処刑される。
首実検に来た田所兵衛。
六郎太に敗れ、あげく情けをかけられたために満座の中で大殿に罵られ、弓杖で打たれたことを恨む兵衛。
情けをかけられたのは、己の器量のためであると言い、兵衛の主君の度量のなさを笑う雪姫。
「装わぬ人の世を、人の美しさを、人の醜さを、この目でしかと見た・・・六郎太、礼を言うぞ! これで姫は、悔いなく死ねる!」
人の命は 火と燃やせ
虫の命は 火に捨てよ
思い思えば 闇の夜や
浮世は夢よ ただ狂え
歌う雪姫の目に涙。
そのとき兵衛は、何を思ったか。
こういう場面の後の「裏切りご免!」なだけに、気持ちがスカーッとする。
いよいよ処刑場に連行される雪姫たち。
その時、間然! 田所兵衛の八面六臂の活躍が始まる。
金塊を積んだ馬を早川領に逃がし、槍で侍大将たちをたたきのめし、雪姫たちの縄を切る。
「兵衛! 犬死は無用! 志あらば続けっ!」
「よっしゃ!」
「隠し砦」のテーマが高らかに鳴り響く中で、雪姫、六郎太、女が次々と早川領に走り行く。
そして、これまでの味方に向かって兵衛、
「裏切りご免!」
と言って、馬に飛び乗り、風のように早川領に駆けていく。
この爽快感、スポーティな快感、映画でしか表現しきれない、この鮮やかさ。
ぶろぐるは随分いろんな映画を見てきたけど、こんな場面はめったに見たことない。
黒澤ファンの間では、必ずしも評価が高くない映画だけど、ぶろぐるは大好きな作品だ。
リメイクの「隠し砦の三悪人」を見る前に、ぜひ見てほしい。

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